生地の裏表の見分け方|耳の穴・柄・ツヤを写真で確認
生地の裏表は耳の穴だけでは決められません。プリント・ツヤ・織り柄を比べる順番を写真で紹介。平織やオックスの注意点、好きな面を使える場合、裏表を間違えたときの考え方も解説します。
生地の裏表を見分けたいときは、まず商品説明に表裏の指定がないか確認し、次にプリント、ツヤ、織り柄を両面で比べます。耳の穴の凸凹だけでは決められません。生地のマルイシの店長・石井が、写真を使って見る場所と判断の目安を紹介します。
生地の裏表を見分ける順番
- 商品説明や生地に付いた表示で、表裏の指定を確認します。
- 両面を同じ向き・同じ光で並べ、プリント、ツヤ、織り柄の違いを見ます。
- 耳の穴や綾線も参考にします。ただし、どちらもそれだけでは決めません。
- 指定や片面加工がなく、両面を使える生地なら、好きな面を表にして作品の中で統一します。
平織でも、プリントや加工によって表裏ができることがあります。判断に迷う場合は、裁断前に購入店へ確認してください。
生地の表と裏の判定方法
耳の穴の凸凹だけでは、表裏を決められません
一般的にはぽこっと膨らんでいる「凸」が表と思っている方が多いのではないでしょうか。
実は、そうでないパターンもあります。
表(だと思われる)がへこんでいる「凹」になっている生地を見つけました。
カットドビーと言われる生地で、裏切り・表切りがあります。

このように、穴の向きと表裏が一致しない生地もあります。穴は参考の1つとし、以下の写真のように柄やツヤも合わせて見てください。
パターン1:織物の端に示された標識や模様が鮮明な方が表
有名ブランドの生地には端にブランド名が織で入っていることがあります。
リバティ生地も端にブランド名が入っていますよね。
プリントは明らかですが、織物で裏表が分かりにくい場合は生地端に標識があれば裏表を判別することができます。
標識というのは、ブランド名などの文字がプリントされているような状態のことを表します。
文字が読める方が表!というのはとてもわかりやすいと思います。
色やツヤの状態がはっきりしている方が表である
デニムで言えば、濃い方。
サテンで言えば、ツヤがある方が表です。
少し分かりにくいですが、ツイル生地(チノ生地)にも裏表があり、こちらもツヤがある方が表です。

当店のオリジナルコットンツイル No.8660で、下が表です。より光沢や模様が鮮明であるように見えます。
ツイルの場合、左上がりに綾線が出ている方が表であることが多い
ツイル生地には右上がりと左上がりのものがありますが、一般的には左上がりのものが多いです。

縞糸(しまいと)が美しく、規則的に現れている方が表である
縞糸とは柄を表す色糸のことです。
具体的には、より綺麗にストライプやギンガムの柄が現れている方が表ということになります。
また、裏は柄が不規則になっているものもあり、基本的には規則的に現れている方を表とします。




ストライプなどシンプルな柄で裏表が分かりやすく出るのは平織のストライプではなく、縞部分が繻子織-しゅすおり-(サテンの織り方)や綾織-あやおり-(ツイルの織り方)になっている場合です。
経糸(タテイト)が多く浮いている方が表である
織物は経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)によって作られています。
先染め織物の場合、柄は経糸が浮いたり、沈んだりすることによって表現されます。
例えば当店の綿ポリ織りドットで言えば、ドットの部分は経糸が連続して浮いている為にドットに見えています。

裏表を聞かれた場合は「どちらでも好きな方を表にお使いください」と伝えていますが、企画側としてはこちらを表として企画しています。
裏の方が好きなんだ!という方はそれでも全く問題ありません。

パイル織物はパイルの多い方が表である
パイル織物とはタオルなどのフワフワな生地のことです。
タオルのホワっとした状態のものをパイルと呼びます。
パイル織物の中でもさらにパイル生地とシャーリング生地に別れます。
パイル生地は裏表にできたパイルをそのまま残した生地で、一般的なタオルはこちらです。
シャーリング生地とは、片面のパイルをカットした生地になります。
パイル生地の裏表は分かりにくいんですが、シャーリング生地の裏表は見ればすぐ分かります。
当店で扱っている、あわゆきタオル生地はパイル生地ではなく、シャーリング生地です。
良くみていただくと表のパイルをカットしてあるのが分かるはずです。
パイルをカットして整える加工をシャーリング加工と言い、この一手間を加えることで滑らかでふわっふわの肌触りを実現しています。

生地の裏表を間違えるとどうなる?
表裏で柄やツヤが違う生地は、使う面を変えると作品の見え方も変わります。裁断したパーツで表にする面が混ざらないように、縫い合わせる前に確認してください。
当店の綿ポリダンガリーなど、両面を使える生地は好きな面を表にできます。ただし、プリントや片面加工、表裏の指定がある生地まで同じとは限りません。商品ごとの説明を優先してください。
平織でも、プリントや加工による表裏があります
平織やオックスのように、織り方による表裏の差が少ない生地もあります。ただし、片面にプリントや加工をしている場合は、その違いも確認します。無地か柄物かだけでなく、両面の状態を見て判断してください。


ツイルやサテンでは、糸の浮き方の違いが表裏の見え方に表れます。

見た目で分からない加工もあるため、表裏の指定がある場合はその案内に従います。
なんだか、ややこしいんだけど、結局どうすればいいの?
商品に表裏の指定がなく、両面を使える生地なら、きれいに見える方や好きな方を表にして構いません。面を決めたら、裁断から縫い合わせまで揃えて使ってください。
あまりややこしく考えずに、自分の直感にしたがって洋裁を楽しんでくださいね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
今回使った生地
[product:8660] [product:7000] [product:3350]糸の撚りと綾線の関係について
単糸ツイルは左上がりがセオリー
ここからは少しややこしい、もう一歩踏み込んだ話になるので、興味のある方だけご覧ください。
糸には単糸、双糸(2本)、三子(3本)などがあり、撚りにはZ撚りとS撚りがあります。
撚りはタオルを右回転、左回転で絞ってみると理解しやすいと思います。


上記図の通り、Zは右回転、Sは左回転です。基本的には綾線とクロスするような撚りの糸を使うのがセオリーで、そうした方が綾線がはっきりと現れた織物になります。

このツイルは単糸のZ撚りの糸を使っているので、セオリー通り左上がりに企画しています。

双糸ツイルは右上がりがセオリー

右上がりのツイル生地です。経糸と緯糸をそれぞれ解いてみると

双糸と単糸の組み合わせであることがわかりました。双糸を使用しているから右上がりに企画しているんですね。
デニム生地は単糸でも右上がりのものがある

このデニムは綾線が右に走っていますがタテヨコ共に単糸です。基本的には綾線とクロスするような撚りの糸を使うのがセオリーで、そうした方が綾線がはっきりと現れた織物になります。ですが、デニムは基本的には単糸(Z撚り)の物が多いにも関わらず、右上がりの物が多いです。どうしてだろうと思っていたんですが面白い資料を見つけました。
この資料によると、デニムではあえてZ撚単糸をセオリーとは逆の右上がりに組織することで、綾線をあえて不明瞭にしてテクスチャーをはっきりさせない、ダルdull(鈍い)な感じこそが本流だとしています。資料ではZ撚りを右上がりに組織した場合と左上がりに組織した場合の比較画像が添付されているので興味があれば見てみてください。同じ糸を使っても組織によってここまで明瞭さが変わります。
デニムは特殊なので、一般的なツイル生地は単糸の場合は左上がりで覚えておいて問題ありません。



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